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RabbitHome作品 小説&ネタ公開・推敲ブログ(ネタバレ有)
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 俺が行くと、部屋の前ではフェイズとリィンが押問答をしていた。風邪だというリースは、熱があるらしくまだベッドで寝ているようだ。
 フェイズに対してヒステリックに叫んでいるリィンを見ると、彼女の顔色も先日より格段に悪い。疲労と心労と・・・具合が悪いのはリィンも同じと見える。もしかしたら、昨夜は寝ていないのかもしれなかった。

 だが、病人の居る部屋の前で大騒ぎ。俺が言うのもなんだが、あまり感心できない。

「近寄らないで!入ってこないで!!昨日のこと、私はまだ許してないんだからっ!」

 扉を開けようとするフェイズに内側から全体重で逆らいながら、リィンが叫んでいる。顔色の悪さに比べて、威勢のよさは昨日から変わらない。だが、フェイズは全く動じることなくいつもの飄々とした調子のまま、扉を抑えている。リィンの必死の抵抗に比べて、こちらは涼しい顔だ。

 やっぱり対照的な・・・気のあわなそうな二人だよな。

「昨日のこと?昨日のことって何」

 フェイズの のほほんとした切り返しが余程気に食わなかったと見える。リィンはさらに大声で怒鳴りつけた。

「とぼけないで!」

 石像をもぎ取るような奴に力では敵わないと判断したんだろう。リィンはノブから手を放すと、部屋から飛び出してフェイズに詰め寄った。

「あ、あなた、昨日はリースにあんなことした癖に・・・・・・っ!!さっきは・・・っ。信用できないのよ!」

 あんなこと・・・フェイズがリースにキスした時の話だろう。だがフェイズはそれを覚えていない。
 だから、彼は首を傾げながら尋ねた。

「リースって、誰?」

 さすがにこの問いは頂けなかった。俺だって、リィンの立場だったなら怒るに違いない。

 ぱしんっ!

 小気味良い音が響く。

 あーあ・・・・・・。まぁ、確かに、状況を知らない者が見れば、悪いのはフェイズの方だと判断するだろう。リィンはフェイズの頬を叩いた手を翳したままフェイズを睨んでいる。

「あなたって、本当にサイテ―だわ!!」
「・・・・・・?」

 フェイズは何がなんだか分からない様子で往生している。物凄く面倒な状況だが、放っておくわけにも行かないので、俺は嫌々ながら仲裁に入ることにした。

「おいおい、病人の居る部屋の前で何を騒いでるんだ」

 今初めて、俺がいることに気が付いたんだろう。リィンは ぱっと顔を上げ、そして同じように俺のことを睨みつけた。

「どうしてリースが病気だって知ってるの?」

 ・・・しっかりしてる。俺は無言のまま肩を竦めて、扉の前に歩み寄った。すると、リィンが立ちふさがるように扉の前に立って、俺の目の前に手をさっと翳した。

「寄らないで!!」

 目の前に突き出された手には何か握られている。

「十字架?」

 その形を認識したフェイズが呟く。
 彼女の手の中にあるのはペンダントタイプの十字架。それほど大きくはない。まさか部屋にあったとは思えないから、彼女自身の持ち物だろう。
 やれやれ。
 俺は軽くため息をつくと、十字架ごとリィンの手を握り締め、顔を近づけて言った。

「舐められたもんだね。そんな清められてもいない十字架に効果があるとでも?」
「そんな・・・」

 彼女はショックを受けたようだが、すぐに俺の手を振り払った。そして踵を返して部屋の中へ駆け込む。後を追って、フェイズが扉を大きく開いた。リィンはリースの寝ているベッドを俺達から庇うようにして立っている。さすがに先ほどのような大声は出さないが、口調は刺々しい。

「近寄らないでって言ってるでしょ?嫌なら関わらないって言ってたじゃない」
「まぁ、いろいろと事情は変わるんでね」

 リィンは驚くほど鋭い視線を投げてくる。気が強いのは嫌いじゃないが、これほど憎まれてる様子だと渡り辛い。

「事情って何よ?」

 どこから話すか、俺は慎重に言葉を探す。だが、俺が口を開くより先に、フェイズが口を開いた。

「そっちの子は、本当に病気なの?」

 フェイズの言葉に、リィンがビクリと震える。リィンの背後のベッドではリースが静かに横たわっていて、額にはリィンが載せたのか濡れたタオルがあてられている。

「・・・そうよ」

 リィンが顔を歪めて、苦しそうに肯定する。リースの様子を見ようと足を踏み出した俺達を、リィンが再び遮った。
 リィンは小柄だから、俺達とはかなりの体格差がある。しかも1対2。腕力的にも体力的にも、どう抗ったところで勝てないことは彼女だって分かっているだろう。
 だが、絶対的に不利な状況でも彼女は屈しない。翠の瞳は相変わらず、俺たちを射抜く視線を放っている。

「・・・やっぱり、貴方達の仕業なの?」
「は?」

 突然の言葉に戸惑う俺達に向かって、リィンはもう一度、確信を込めて言った。

「貴方達がリースを病気にしたのね?」



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