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RabbitHome作品 小説&ネタ公開・推敲ブログ(ネタバレ有)
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強い願いが夢になる
作品紹介(サイト) / キャラクター紹介(サイト)

以下、殆ど自分用メモ。書きかけだったり、話が飛んでいたり。盛大にネタバレ中
今後大幅な修正が加わる可能性も大いにあり
RH年表】【兄弟達の鉱石】【キャラクター紹介

【ルーク編 メモ】
 00.プロローグ
 01.ゴールデンアフタヌーン 01 / 02 / 03 / 04 / 05 (幸せな夢の記憶)
 02.スターダストプランクトン 01 / 02 / 03 (自分でない自分を生きようとした)
 番外編 ルークとディオン / The whisper of moon

【クレス編 メモ】
 クレスとセレネの出会い / クレスの旅立ち
 エピローグ

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「あなたはどうして逆さまに歩けるの?」
「逆さま?上も下も右も左もないよ。ここは夢の中なんだからなんでもありなのさ」
「なんでも?」
「そう。逆に言えば確かなことなど一つもないってこと。ここはドコだかわからない。僕は誰だかわからない」
「あら、確かなことならあるわ」
「へぇ?どんなこと」
「”私”が”ここ”に居るということ」
「え?」
「私が誰かということも、ここが何処かということも関係ないわ。でも、私はここに居るの」
「君は本当に君なの?」
「私は誰になっても私なのよ」
「・・・ぷっ、ははっ!君って随分かわってる!」
「そうなのかしら?」
「そうだよ。大抵、誰でも、ここがどこか自分が誰か考えるものさ。わからないと不安にならない?」
「でも、今の私は私が私であることを知っているもの。 そうね、今、私に何もできることがなかったら私は不安になると思うわ」
「できること?」
「そうよ。私は今、貴方と会話できるし、こうしてほら、歩くこともできるし。これから何をしようかと考えられる。そうやって、何かをやろうと思っている間は不安にならないわ」
「これから・・・か」
「あなたはどうするの?」
「僕?」
「そう。これからあなたはどうするの?」
「・・・・・・君は僕も信じるの?」
「どういう意味?」
「僕がここにいること」
「信じるわ。だってあなたは ここに居るもの」
「そう?居るように見えて、居ないのかも」
「そうね・・・あなたは私じゃないから。 ねぇ、それなら手を繋いで。それで分かるわ」
「・・・手?」
「あなたにもついてるでしょ?ね、手を繋ぎましょ」
「・・・・・・うん」

「ほら、あなたも確かにここに居るわ。私は貴方に触れているもの。あなたも、私がここに居るって確かめられた?」
「・・・あぁ」
「ふふ、あなたの手、温かいわ」
「うん、君の手も」

「私はセレネよ。えぇと、今は、ね」
「くす・・・僕はクレスだよ」
「クレス?」
「うん」
「私ね、あなたと一緒で嬉しいわ」
「え?」
「思ったのだけれど、やっぱり私にできることがあっても、ここに一人だったら不安だったと思うの。でもあなたが居てくれたから不安にならなかったんだわ」
「・・・・・・セレネ」
「何?」
「僕も・・・僕も君と一緒で嬉しいよ」
「えぇ、有難う」


そして少年は目が覚めた。
手のひらに残る少女の温もり。
見つめながら彼は呟く。


「君はここに居た・・・?」



――――― セレネ ―――――



Top

※ 初期設定
※ 現行との違い ⇒ クレスの父母は既に他界している。クレスは後妻の子

「学者になるだと?」
「えぇ」
「ならん。例えこの家を継ぐのがお前の兄だとしても、お前にはその補佐という重要な役目がある」

「勿論、お前にはしかるべき相手をきちんと選んで結婚させる」
「僕にはもう、心に決めた女性が居ます」
「それはどこの誰だ」
「わかりません」
「お前は私を馬鹿にしているのか」
「いいえ」
「だけど僕は、その女性に会うために探しに行きます」





「巫山戯るな。そんな我侭が許されると思うのか。立場というものを考えろ」

 ランプの灯り ひとつだけに照らし出される薄暗い室内に、低い男の声が響いた。 葉巻の煙と一緒に吐き出されたその声は、怒りに満ちていて、静かだが他を圧倒させる力を帯びている。 その声音と同じだけ、他を圧倒させる力を持つ瞳が、目の前の少年を見据えていた。
 しかし少年はその言葉にも視線にも臆することなく、目の前のその男に・・・自らの父親に、睨み返すような強い視線を返した。 普段は晴れた青空を映したかのような色の瞳も、今は小さなランプの炎をうけて夕焼けのように燃えていた。

「これは僕の意志です。家を継ぐのは兄さんが居ます」

 ゆっくりと、強い口調で少年はきっぱりと言う。 少年から青年へと成長段階にある彼の声音は、男らしい低い響きの中にまだ微かな子供らしさを残しているが、それでも彼の父親の覇気に劣りはしなかった。

「お前は・・・態々 私に勘当されたいと言うのか」

 なんど繰り返した問答か。 少年は身動ぎもせずに父親を見つめていたが、内心では溜息を吐いていた。
 結局 今彼らが論じているのは、お互いの信念が全く違うものであるからなのだ。 どちらかが、それを折らなければ和解はなく、それはどちらかが心を捨てるということだ。

 そんなことができるわけがない。
 お互いに譲ることができないのだから、きっと分かり合うということは不可能なのだ。

「・・・そうしなければ、相容れないというのであれば」

 言葉なく、二つの視線がお互いを見つめた。
 疲労か、悲しみか。

「去れ」





「兄さん・・・・この家を宜しくお願いします」
「ふん、恥さらしが。お前などに言われなくとも」





「あぁ、クレス!クレス!待って、お願い考え直して頂戴。家を出るなんてそんなこと。それに勘当だなんて」

「ご迷惑をおかけして申し訳ありません、お母様。今日まで僕をここまで育てて下さったお父様とお母様には本当に感謝しています。けれど・・・このまま あの家で一生を終わらせる気はないのです。今まで僕はそれ以外の人生を知らなかったけれど・・・僕はもう、自分の道を見つけたんです」

「だからって・・・外のことを何も知らない貴方が、家を出てどう暮らすというのです」

「大丈夫。いろいろ教えてくれる友人がいるのです」

「友人?貴方に?そんな筈はないわ! 何より、身体の弱い貴方が・・・もし、何かあったら・・・!」

「・・・・・・お母様。僕の気持ちは変わりません。今まで有難うございました」

そういうと、少年は振り返ることなく、自分の家を後にした。



Top

 誰かが自分を見つめている。 睨むような双眸。 だがその瞳は絶望を湛えている。
 その瞳の持ち主である青年の、凛とした声が 暗闇に響いた。

― 私達を 置いていくのですか

 それは、彼を責めている。

 すまない。
 僕は願うことしかできない。

 君達にも いつか帰る場所ができることを。

― 私達は・・・私は、あなたの元が帰る場所だと


― 待ってください!


『 お父様! 』







RabbitHome 『 Phase00:Prologue 』







「お父様、お父様ったら、起きて」

青年の声が いつの間にか幼い少女の声に摩り替わる。

「・・・ビス?」

「そうよ、お父様。ねぇ、起きて! 今日は一緒に公園に行く約束でしょう?」

「あぁ、あぁ、そうだったね」

「珍しいわね、あなたが寝坊するなんて」
「あぁ・・・なんだか夢を見ていて」
「どんな夢?」
「いや・・・もう良く覚えていないんだ。なんだか懐かしくて・・・悲しかったような気がするな」

「ねぇ、お父様。今日は公園に一緒に行く約束よ」
「あぁ、そうだったね」

「じゃあ、行って来るよ、セレネ」
「行ってらっしゃい」


「ビアトリス、そんなに走ると危ないよ」
「あ」

「危なかった。大丈夫ですか小さなレディ」
「あ、あの大丈夫です。ありがとう」

「あ、」
「これのことですか」

「良かった!クリソベリルへのお土産だったの」
「クリソベリル?」
「クリソベリルっていうの。猫の名前よ。真っ黒の」
「あぁ、そうでしたか」
「石の名前なんですね」
「知ってるの?」
「知っているとも」
「ママのパパが、えっと・・・いしのがくしゃさん?だったんだって。だからお家に沢山あるの」
「へぇ」
「あの子は瞳が きらきらと金色に輝いていたの。だからクリソベリル」

「そういえば、あなたの瞳も金色なのね!髪も真っ黒で・・・うちのクリソベリルにとても似てるわ」
「そうかい?」

「あ、お父様!」
 青年がコチラをみた。 娘に向けられていた穏やかな瞳が、一転して鋭く細められる。 彼は思わず足を止めた。 睨まれているから竦んだわけではない。 何かを確認するように、青年の視線をひたと据えられて。その瞳が酷く真摯だったからだ。
 一瞬、時がとまったかのように思えた。
 そして、青年が口を開く。

「・・・お父様?」

 その響きは、彼の胸の何かを酷く揺さぶった。青年は、娘の言葉を確認したのだけにすぎないのに。

「・・・え」
 彼がたじろいだ次の瞬間、青年は再び表情を一転させて穏やかな笑みを浮かべ、立ち上がった。
「失礼、この子のお父様ですか?」
「あ、あぁ、そうだ」



「こら、ビアトリス! あんまり先に行くなといったろう。すみません、相手をしてくれてたようで」
「いや、いいんですよ」
 青年は爽やかに笑った。



 その端整な顔から受けた最初の印象とは違い嫌味なところが一つもない笑顔だ。


「パパー、見てー!」
「・・・元気な娘さんですね」
「はは、妻に似て好奇心旺盛で大変なんだけどね」
「いいことじゃないですか」
「お転婆で困るよ」
「子供は元気が一番です」

「君・・・どこかで会った事が?」
「・・・いえ」
「まぁ、この公園にはよく来るので、すれ違ったことぐらいならあるかも知れませんが」

 そうか、と頷いたクレスに青年は唐突に問うてきた。

「幸せですか?」
「え」

 思わず顔を見返す。青年は穏やかに微笑みながらもう一度、幸せですか、と問うた。
 クレスもつられて、微笑んだ。

「あぁ・・・。これ以上無いほど、僕は幸せだ」
「それは、本当に良かった」
「君は・・・」
「私も幸せです。可愛い弟達に囲まれて、毎日が晩餐会のようで」
「パパ!そろそろ始まっちゃうわ」

急く娘を片手で制して、クレスは青年に思い切って聞こうとした。

「・・・君は・・・もしかして・・・」

 だが、そう口にしたときには既に青年の姿はなかった。
 呆然と、クレスは立ち竦む。



「ルーク、ビアトリス、お帰りなさい」
「ただいま、アリス」
ふと気配を感じて振り返る。
「あなた?」



Top

それは夢だった。

名前どころか、カタチすらない、ただの夢の欠片の一つに過ぎなかった。

ふわふわと意識の狭間を漂う、未だ頼りない小さな夢の欠片。

己の意思さえも持ち得ないものであったが、何の為に生まれたかを知っていた。

楽しい夢になるためだ。

夢を見たものの為に。
そのものに温かい気持ちを与える為に。

方法は知らない。
だが、望まれた通りにすればよいのだ。

その欠片は仄かに瞬きながら ゆっくりと漂い続けた。
いつしか他の夢の欠片とともに、川のように流れを作りながら。

気が付けば、周囲の欠片が自身に集まり始めていた。
ゆっくりと流れながら、一つ、また一つとその中へと。

その中の欠片が一つ増える度、それは次第に大きくなりそして放つ光を増していった。

大きな扉の前に辿り着いた頃には、それはもう、欠片などではなく。
カタチもあり、意志もある、一つの存在だった。

彼は得たばかりの小さな腕をいっぱいに伸ばして扉に触れ、
初めての言葉を 舌足らずに囁いた。

「きっと・・・・・・きっと君に 楽しい夢を見せてあげる」

開いていく扉の先には、光が溢れている。




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