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RabbitHome作品 小説&ネタ公開・推敲ブログ(ネタバレ有)
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 荒涼とした起伏の緩やかな大地の真ん中を、2頭立ての馬車がゆっくりと駆けて行く。
 馬車の乗客は二人。ルークとベリル、先ほどの2人だった。

 馬車旅が初めてなのだろうルークは、嬉々とした顔を窓に貼り付けて外の景色を眺めている。 先ほど被っていた大きなトップハットは脱いだらしい。 少しだけあけた窓の隙間から、乾いた風が入り込んで金色の髪をそよがせていた。

 奇妙なのは その頭上・・・・・・先ほどはトップハットで見えなかったその金の髪の中から、二本の白くて細長いものが生えていることだ。 少年の視線が動くのと一緒に時折ぴくぴくと動くそれは、ウサギの耳に良く似て・・・いや、ウサギの耳そのものの形をしていた。 一見、飾り物のように見えなくもないが、ルークの顔の動きにあわせて微妙に動くその様と、光に透けた時に浮かぶ赤く脈打つ血管は到底作り物には見えない。
 さらにはベリルが時折、髪を梳くようにしてルークの頭を撫でると、頭上の耳も気持ち良さそうに伏せらるのだった。

 第3者にはどのように映るだろう。 顔立ちも似ておらず、年齢も離れた二人組み。 さらには子供の方の不自然な耳。 だが彼ら自身は、そのどれにも違和感を覚えないようで、のんびりと馬車旅を楽しんでいた。

 単調に過ぎていく景色を、それでも興味深く見つめていたルークが、あっ、と声をあげた。 頭上の耳が、ぴん、と立つ。

「ねぇ、家が見えるよ。 ベリルっ、あそこで皆に会えるんだよね」

 遮るものの少ない視界の中、遠くに古びた邸宅を見つけた少年がはしゃいだ声をあげて 傍らに座っていた青年を振り返った。 ベリルが、切れ長の金の双眸を細めて微笑みながらゆっくりと頷く。 ルークは ぱっと顔を輝かせて、もっと良く見ようと座席を立ち上がってさらに窓に顔を押し付けた。 見た目よりもずっと逞しい腕が、その小さな身体をやんわりと支える。

「こら、ルーク。そんなに乗り出すと危ないぞ。ちゃんと座ってろ」

 諌める言葉だが、口調はとても柔らかい。 ルークはちょっとだけ未練を残しつつも、うん、と聞き分けよく返事をして椅子に体を落ち着かせた。 そして自分を支えた腕にしがみ付くと、その大きな瞳でベリルを見上げる。

「ねぇ、もう皆 来てるかなぁ」

 期待に じっとしていられないといった様子の少年に苦笑しながら、ベリルが穏やかに答える。

「ああ。きっともう、皆 集まっているだろうな」
「皆、元気かな」
「それは心配ないな。 あいつらはいつだって、騒がしい程に元気さ」

 ベリルの大きな手が、小さく柔らかな頬を包み込んだ。温かさが、なんだかくすぐったい。 自分の顔を包み込む手に触れると思わず幼い顔が綻んで、ルークは嬉しそうに満面の笑みを返した。





 長年硬く閉ざされたままで張り付いてしまったかのように見えた重い門扉が内側からゆっくりと開かれ、馬車が先ほどの屋敷の敷地に入った。

 多少の草木はあれど、背の低いものばかりで一年中殆ど景色に変化のないこの大地。 森や川もあるにはあるが、それは全体に比べれば微々たる面積である。 街からも遠くいかにも不便な立地のように見えるのだが、それこそが、土地の所有者の富の証なのだった。
 見通せる範囲の土地全てが、この領地の中心に立てられた屋敷の持ち主のものである。 だから田舎とは言え、そこに立つ屋敷は大きく立派で、権力の無いものたちには無縁の佇まいを見せていた。

 馬車は 屋敷から少し離れた場所でとまる。
 御者が扉をあけるとほぼ同時に、ルークがぴょんと馬車から飛び降りた。 しっかり両足を揃えて足を付くと、たたっ、と走って馬車から離れていく。
 ベリルはそんなルークを見て微笑みながら、自分も馬車から降りる。 微笑む青年の視線の先を御者の視線が追った。 ルークは長い耳をちょこんと揃えて、離れた場所で行儀良く待っている。 その周辺に視線を彷徨わせた後、御者は少しばかり首を傾げて不可解な顔をした。しかし何も言わずに帽子をとって軽く一礼し再び御者席に乗り込んで鞭を撓らせる。 馬達がゆっくりと方向転換をし、もと来た道を走り去っていく。
 ルークが名残惜しそうに馬車の後ろ姿を見送った。

「馬車、楽しかったね」
「そうだな、機会があったらまた乗ろうか」

 ベリルの言葉にルークがうん、と嬉しそうに頷いた。 そして改めて、体を屋敷の方へと向ける。

 鮮やかな緑の木々の中に、大きな屋敷がのぞいていた。
 赤レンガで造られた外壁が、周囲の緑に良く映えている。 並んだ窓は白く縁取られ、さらには建物の淵にも白いレンガを互い違いに組み合わせることで、優雅さを呈していて品のよい雰囲気だ。 だが外観こそ壮麗ではあるものの、硬く閉ざされた窓から覗く室内には人の気配はなく、暗く埃っぽい。 この変化のない土地のなかで唯一の変化を楽しめたのだろう広大な庭も、良く見ると 薔薇は伸びきり雑草が蔓延る荒れ様で、お世辞にも優雅とは言えない状態だった。
 その様子に、ベリルが軽い溜息を吐く。

「ま、わかってはいたが、ちょっと手入れが大変だな」
「でも格好良いよ。 凄いね、あれが僕らのお家なんだよね」

 うずうずと今にも駆け出しそうなルークの姿に、ベリルが微笑む。 そして、その背をベリルがそっと手で押して、二人並んで屋敷の入り口へと歩き出した。



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 二人が玄関前に辿り着いたとき、中に誰も居ないと思われた屋敷の扉が突然バタンと開き、少年が咳き込みながら飛び出してきた。 後ろで一つに括った赤毛が、彼の軽快な足運びに合わせて跳ねる。 両手に抱えるようにして持っているのは大きな布の山。

「げほげほ。ったく、冗談じゃないっての。なんで イキナリ掃除させらなきゃなんないんだか・・・」
「あ、ディオン!」

 ぶつぶつと呟きながら、玄関前で抱えていた布を広げようとした少年に、ルークが名前を呼びながら駆け寄る。 その声に顔をあげた赤毛の少年は、二人の姿を視線に捕らえると怒ったように声をあげた。

「あぁーー! やっと来た! オマエら言いだしっぺのくせに 遅いんだよっ!」
「よぉ、ディオン。なんだか随分お洒落じゃないか」

 赤毛についていた埃を指先で摘み取りながらベリルが揶揄すると、うるせーとディオンがその手を払った。

「ったく・・・聞いてないぜオレは。 新しい家が、こんな何年も使われてないような屋敷だなんてさ。どの部屋も埃まみれ。 掃除しなきゃ部屋にもうかうか椅子にも座れないってんで、皆で慣れない大掃除だぜ。 やること山積みなんだから、オマエらも早く手伝えよなぁ」

 やっぱりか・・・と呟くベリルを、ディオンはその深海のように青々とした瞳で睨み上げた。

「だいたい規模が小さめの屋敷ったってなー、フロアに大小10は部屋があんだぜ。俺達だけで掃除しろとか無理な話だって!」
「だからって人を雇うわけにもいかないだろ。兄弟水入らずで過ごすつもりなら」

 答えながら、ベリルの視線がちらりとルークを見た。ディオンも眉を少しだけ上げてルークを見る。
 二人の視線が自分の背中に集まっているとも知らず、ルークは開け放されたままの玄関から屋敷の中を覗き込んでいる。 玄関ホールは薄暗いが、一応ランプは灯されているようだ。 頭上のウサギ耳が、中の音を拾おうとしてか、きゅっと内側を向く。

「ねぇディオン。 他の皆も お家のお掃除してるの?」
「おう。最初は全員でキッチンからやってな。何とか使えるようになったから、そのままボレオはキッチンで茶会の準備してるけど。他の皆は、またそれぞれどっか掃除してる筈だぜ。スピネルなんて、不機嫌な顔がさらに不機嫌な顔になってたから、ありゃ後で相当 文句言われるな。覚悟しとけよー」

 そう言いながら、ディオンは持って来た布を広げて、ばさばさと振った。 どうやらどこからか持って来たテーブルクロスか何かだろうが、一振りするたびに もわっと白い埃が舞い上がる。 どれだけ年季の入ったものか、それだけで知れるというものだ。
 ディオンの近くに立っていた為に その埃をもろに被りそうになったベリルが怒る。

「こらアホ!もっと離れたところでやれ」
「へへ、いいじゃん! お上品な白猫サマに変身で、女性にさらにモテるようになるぜ?」

 冗談を言って笑うディオンをベリルが小突く。すると玄関の内側から、おやおや、とのんびりとした声が聞こえた。

「随分、賑やかですねぇ」

 姿を現したのは、三十代ぐらいの眼鏡をかけた男だった。 いかにも優しそうな、穏やかな笑みを浮かべている。片手には、大きなハタキを持っていた。その格好がなんだか嫌に似合っている。

「オクト!」

 ぴょん、とルークが男の腰あたりに飛びついた。 ハタキを持っているのとは別の手で頭を優しく撫でられて、ルークが嬉しそうにぎゅっとズボンを握る。 そのまま、オクトと呼ばれた男は表情と同じように穏やかな口調で挨拶をした。

「お久し振りです、ベリル、ルーク。元気にしてましたか」
「うん、僕は元気だよ」
「あぁ、遅れて悪かったな。他の奴らは?」

 オクトには素直に謝ったベリルの様子に、ディオンが背後でいーっと歯を見せた。

「ボレオはキッチン、シェルが庭。ディーンがあちこちの修理を。残りのメンバーで部屋を手分けして掃除しているところです」
「そうか・・・終わりそうか?」
「そうですねぇ、やっぱり兄弟12人が揃ったとは言え、今日中に屋敷掃除を終わらせるのは難しいと思います」

 オクトが笑みを絶やさないままベリルに答えると、ディオンが両腕で大きくバツマークを作った。

「ムリムリ、ぜーっったいムリ!」
「煩いぞ、ディオン」
「とりあえずは使うところから集中的に掃除しようと思ったのですが。 それでも部屋の一つ一つが小さいものじゃないので、食堂だけでも日が暮れそうなんですよ」
「ふーむ。 さすがに日が暮れると、一番の目的を達成するにはちょっとキツイな」

 ベリルの言葉に、ルークがちらりと不安そうな表情を向けた。 ベリルはそんなルークに心配はいらない、とでも言うように微笑む。

「そうだな、今日は天気もいいことだし。庭にテーブルと椅子を運び出そうか」
「おや、ガーデンパーティですか。いいですね」
「お外でやるの?ピクニックみたいで楽しそう!」
「おーっ、賛成ーっ!とにかく掃除しなくていいならいいや」

 ベリルの提案に他の3人が賛成を示す。だがベリルはディオンの額をこん、と拳で叩く。

「何言ってんだ。掃除はできるところまではやるんだよ。どっちみちボレオのケーキが焼きあがるまでは時間があるだろ」
「椅子とテーブルも運び出さないといけませんね」
「でーーっ、結局 掃除と力仕事かよーー!」

 ベリルとオクトの言葉に、山積みの作業を思い浮かべたのか、ディオンががっくりと項垂れた。


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 屋敷の中の長い廊下を歩き、玄関とはまた違う扉を開けて再び外に抜けると、ちょっとした高台のような場所にでる。 そこに広がる庭を良く見ようと前に身を乗り出したルークは、感嘆の声をあげた。

「うわぁぁ!」

 眼前に広がるものは、広大な庭園。 丁度季節を迎えた様々な種類の薔薇や、淡い紫色のクレマチス、黄色い水仙の花などが咲き乱れている。

「凄く大きなお庭! お花さんも沢山で綺麗だね、シェル!」

 ルークは振り返って栗色の巻き毛の少年に笑いかけた。 少年が微笑んで、うんと頷く。
 シェルは栗色の巻き毛にくりっと丸い若草色の瞳を持つ少年だ。 ルークよりは年上だがまだ幼さの残る外見で、健康ではあるが細い手足に白い肌で、いつも少しばかり腰が引けている。 そしてその見目通りに気が弱い。
 他人に対してはいつもどもってばかりいる彼が気楽に振舞える相手は、ルークを初めとする”兄弟達”と、動植物達ぐらいのものである。 特に植物に対しては、彼はその生態にも詳しい。
 だから、ここの庭園の庭の手入れは彼に任されたのだろう。

 庭に降りる道をルークと並んで歩きながら、シェルは庭園を見回した。

 薔薇の花は、主に庭園の中央に茂るようにして咲き乱れている。 まるで人が通ることを拒むように、あちらこちらに棘のある枝を伸ばしているけれど。 かつては丁寧に刈られて手入れされていたのだろうな、とシェルは思う。 いかにも人工的な直線で、壮大で複雑な模様を描くように庭を刈り込むのが、この時代の流行だから
 周囲には庭園を囲うように薔薇の蔦が無数に絡まったアーチが並んでいる。 さらに奥の方には大きな木々が並んでいるのが見えた


 今は歩く道さえも伸びきった草木や雑草で覆われている。 かつての家主がこの風景を見たら 荒れていると眉を顰めるだろうけれど。 シェルはこの庭を煩雑だとは思わない。 自由に成長した植物達はとても活き活きと生命力に溢れている。 何でも同じだ。押さえ付けるよりも自然の姿が美しいのだ。
 シェルは、段々と早歩きになって前へ前へと進むルークの後ろ姿を見つめた。

「お花さん、ちょっと元気がないみたい?」

 シェルより先に庭の入り口に辿り着いたルークが、首を伸ばして庭園の花を見ながら首を傾げる。
 上から見たときにはさほど気にはならなかったが、近くで見ると確かに言葉通り、花達には元気がないように見える。 それぞれが鮮やかな花を咲かせてはいるものの、まるでそれこそが重荷かのように地面に向かってしな垂れているせいだ。

「しばらく雨が降ってないみたいなんだ。だからディオンにお願いしようと思って」
「お水をあげたら元気になる?」
「うん、きっと元気になるよ」

 ルークはしな垂れた花をさらに下から見上げるような体勢で体を捻る。 長い耳が地面に付きそうな程 逆さまになったところで、シェルと目があって笑顔をみせた。 シェルが笑い返すと、また検分するかのように一つ一つの花を見比べ始める。 きっと、どの花を摘むか考えているのだろう。 それが、ルークが頼まれた手伝いだから。

 本当はルークも屋敷の掃除を手伝う気満々だったのだ。 皆が頑張っている中、自分だけ遊んでいるわけにはいかない。だから、ディオンやベリルが腕まくりするのを見て、僕は何をすればいい?と 真摯な瞳で訊ねた。 だけどまさか、まだ体の小さなルークに力仕事を頼むわけにもいかず、だけど何もしなくていいと言ったら傷つくだろう。
 どうしたものかとベリル達3人が顔を見合わせたところへ、丁度シェルがやってきた。 彼はずっと庭の様子を見ていたのだが、用事があってディオンを呼びに戻ってきたところだった。
 そのシェルの姿を見たオクトが機転を利かせて、それでは食卓に飾る花をシェルと一緒に摘んできて下さいね、とルークに頼んだのだ。 ルークは勿論 喜んで、うん!と元気に返事をした。 それがつい先刻。

 あまりに一生懸命に花を見つめているので、シェルはくすりと笑う。

「おーす、シェルー!」

 その時、陽気に彼の名前を呼ぶ声が聞こえてシェルは振り返った。 先ほど手にしていた布をもとの場所に戻してから、ディオンも庭に降りてきたのだ。

「うわー、すげぇ薔薇。 んで?オレは何をすればいいワケ?」
「うん、ディオン。水撒きの手伝いを頼んでもいい? ホースも穴だらけで、使えるのなくて困ってたんだ」
「はいはい、お安い御用ですよっと! 掃除よりはこっちの方が楽しくていいや」
「ありがと。ここ、外はポンプしかないんだ。ぼく、押してくるね」

 シェルは薔薇の絡まるアーチを潜りぬけて、その影に隠れていた水汲み場にするりと入った。 ディオンはシャツの袖を捲くりながらルークに声を掛ける。

「おーい、ルーク。そこに居ると濡れるから、ちょっと下がっとけ」

 熱心に花を眺めていたルークがぴくりと頭上の耳を揺らして、花から顔を上げた。 ディオンがちょいちょいと手招きする。 トコトコと傍に歩いてきたルークは、期待した瞳をディオンに向けた。

「ディオン、まほう使うの?」
「おう。よーくみとけよ」
「うんっ」

 水出たよー、とシェルが叫んだ。 了解、とディオンが頷いて瞼を少しだけ伏せる。 いくらもしないうちに、彼の赤毛の先がふわりと風に浮いた。 薄く目を開いて深く青い瞳をのぞかせながら、ディオンが大きく弧を描くように腕を動かす。
 その途端、水汲み場のポンプから出た水が、同じような軌跡を描いて彼らの頭上に舞い上がった。 そしてディオンがパチン、と指を鳴らすと、舞い上がった水が雨のように庭園の植物達に降り注ぐ。

 うわぁっ、とルークが楽しそうな声を漏らした。 水のカーテンの中に、赤や黄色の鮮やかな色合いの魚達が泳いでいる姿が映っているのが見えたからだ。

 きらきらと、水しぶきの中で魚達のうろこが煌く。 その魚達はしばらく自由に泳いだ後、一つところに集まり始めた。 そうして次第に輪郭を失い、お互いの色を混ぜあいながら大きな虹の姿を作り上げる。 虹は暫く揺らめいていたが、雨が降り終わると同時にぱしゃん、と水を跳ね上げる音を残して掻き消えた。

 小さな雨に周囲の地面はしっとりと濡れ、葉の上に残された雫が太陽の光を反射して宝石のように輝いている。
 ディオンが二人の観客を意識して、恭しく手を添えてお辞儀をした。 ルークがパチパチパチと、夢中で拍手をする。 興奮のあまりか、頭上の耳までもがパタパタと動いている。

「わぁーーっ!凄いね!凄く綺麗だったよ、ディオンっ」
「へへー、だろっ? ディオン君ったら、センス抜群。やること全部カッコイーから!」

 ディオンが得意そうに、鼻の下を指で擦った。
 ポンプで水を汲み上げていたシェルも二人のところに戻ってきた。 そして近くの薔薇の葉に触れ、先ほどのディオンと同じように瞼を伏せる。
 何かの音を聞くように、シェルが首を傾げると、風もないのに草花達がさわさわと囁き始めた。 そして彼らの近くから何かが染み渡っていくかのように、しな垂れていた草花がみるみると頭を持ち上げていく。 力なかった茎がぴんと伸びて、空を見上げるように花が上を向いた。
 ぴゅう、とディオンが口笛を吹く。

「お、シェルもやるなーぁ」
「うん。ディオン有難う、助かったよ」
「いやいや、これくらい朝飯前だって」
「シェル、お花さん元気になって良かったね!」
「うん、そうだね。ルークは花、持ってくんだよね。どれにするの」

 シェルに問われて自分が頼まれていたことを思い出したルークが、また真剣に花選びを開始する。
 花弁にきらきらと水滴を輝かせた花々が、帰ってきた喧騒を喜ぶかのようにそっとその体を揺らした。



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【ORPG】メモ
なんか初期のイメージとは随分違ってしまって、私の中でもプロフィールと齟齬が出ている状況ですが・・・;; 私がその気持ちになりきれないので、怒りっぽいとか好戦的って感じにみえないことが多いですね。
とりあえず、現在の簡単なミルド関連メモ
後々、足したり減ったり。

・村に住んでいた頃は村の生活に不満なく、旅に出ようとは思ったことはない
・子供?はソフィアとミルドの二人だけだった。

・町に住んでいるときは、どっかの家の納屋を借りていた(定住の意志ナシ故に)
・町に居るときに偶にバイト(工芸品の行商?)がてらに他の島や大陸へ渡っていた
・その際に、各種ギルドで簡単な適正検査みたいなものをうけて 悉く玉砕
・町に戻るたびに、ちょっとソフィアに怒られる(いつも何も言わずに出ていくから)

・あるとき一人で村のあった場所に戻る。
・なにも残っていなさ”過ぎる”状況を少し疑問には思う。

・もとのような普通の生活をしたくて、旅に出る

・とりあえず自己流で鍛える
・剣をつかえるようになるまでにとにかく鍛える(手足が太いのはそのせい。多分)

・強い相手に勝負を申し込む。勝負の結果よりも、欲しいものは過程。
・強さを恐れない、弱さを知る。得ようと思ってるから。
・勝負は女性相手だと躊躇う。積極的には申し込まない。
・が、相手が特殊な技を持っていたりする場合は別。知りたいから戦う。


呟きという名の私信  << ORPG関連メニュー >> 冒険者らしからぬ

ミルド
落書き以下、イメージ絵
山があって、港があって、みたいな・・・。


ミルドは”本当に強く”はない、だろうなと。
彼の意思が甘いからか弱いからか知りませんが。
だけど、例えバカにされて腹はたっても、本人が自分の信念を曲げることはないですが。

アンケートでもポロっと出たのでああそうか・・・と私自身が思ったわけですが、ミルドはそもそも旅に出たり強くなりたいとは考えていなかったわけで。
彼にとっては地味でも平凡でも、村でのそのままの生活が続いていればそれで満足で幸せだったと思います。

それが出来なかったから戦うしかなくなったというか。

襲撃から逃れて辿り着いた先(これがリタさん達の住む町ということになってます)でも彼の望むような平凡な生活は可能だったわけですが。
一度 平凡が壊されたことによる悔しさがあり、不安があり。

ならば旅に出よう、強くなろう・・・という思考が単純なところですが。
彼にはもともと素質がなかったというイメージです。

だからいくつかのギルドで適正試験をうけて皆切り捨てられたというか。
適正試験なんて有るのか?とも思いますが、あるんじゃないかなぁ・・・と勝手に・・・。別に資格をとる、とか受けなきゃいけない、というものでもなくて。試す場所ということで。
その日ギルドに居る誰かが、簡単に実技の相手をする・・・という。

迷うぐらいなら踏み込むな・・・という、中途半端モノを諦めさせる為のシステムかも知れません。それでミルドも落とされるという。
魔法とかは本気で素質が無いんですけれどね。

でもそれで、ちょっと自棄になって喧嘩売るという感じです。一番最初の挑戦は。
私の中では勝手に、一番最初にヴェイタさんに挑んだことになってます(妄想が) 一人で自分の村に帰ろうとして、その道中で。町の近くだから、帰るところでたまたま すれ違ったと・・・。

まぁ、その頃は剣もつかえないので勝てるわけがありませんが・・・ちょっとだけ面倒見て貰って。


ちなみにミルドは勝負を挑みたがるという設定ですが、私個人のイメージでは挑んでおきつつ、殆どの場合で負けていると思います。時にはカモられて、瀕死になったりもしつつ。
実際のところ、田舎モノでガキで甘ちゃんなので、仕方ないかと。ですが、そうやって打たれて強くなれる分は強くなれば言いと思います。


彼は最終的には自分の村に帰ると思います・・・何も残ってないけど、また最初からやり直して。
すっぱり冒険者やめて、彼の望んでいた生活をすると思う。
ソフィアちゃんはついてきてくれるだろうか・・・・・・(笑)
プロポーズ(!?)は、苦労させると思うけど一緒に帰ろう・・・とか。

いいじゃないか、普通に平凡に終わって。



時間がないので、だらっと垂れ流しで失礼しました・・・。


ミルド関連メモ << ORPG関連メニュー >> 素質とかの話

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